Landreall 14巻感想

ちょっと長くお休みしてしまいすみませんでした。

大好きな漫画、Landreaallランドリオール)の最新14巻が発売されましたので少しばかり感想など書いてみます。拍手コメントくださった方、有難うございました。書いたよ!


●表紙
「さあ、夏休みのはじまりだ!」
眩しい日差しに吹き抜ける風。青のトーンでまとめられたさわやかさがまさに「夏休み!」って感じの表紙ですね。
そして帯を外した下にチラリと見えるイオンの健康的な肌色には頬が緩んだり緩まなかったりなんですが、改めて見ると信じがたい厚みですねこの胸板…。まな板まな板とのプロパガンダは受けてきましたがまさかここまでとは…。というかもしかして1巻時点とかよりも縮んでるんじゃないだろうか。ゴクリ。
もうDXやら六甲やらに大きくしてもらっちゃえばいいと思うよ。


●Act.70 覚悟日和
「私が怖いならDXで遊ばないで」
君の脳ミソ壊しちゃうぞ☆なノリでレイへの牽制を放つディアのヤバさに少しドキドキ。こんなに気にかけてもらって、DXもずいぶん気に入られているんだなあ。王城バイトでのやり取りは短いものでしたが、確かにあれは印象的なものでしたしね。
それはそれとして「ごめんごめん悪かった!」だとか「大老に言いつけるぞ!」だとか、幼児退行を起こしてるレイが何やら可愛らしくて仕方ないのですが。何この人たのしい。もっとこまれ。


「私の天恵が…人の記憶に働きかける類のものだとか」
「あなたの天恵もその類のものだとか」
「知ってる人はいない…」

レイ、ディアの天恵についても言及が少し。断片的ではありますが出てきた情報を考えてみると、
・二人の天恵は記憶操作に関するもの。
・ディアの天恵を使えばレイを壊せるらしい。
・レイの天恵は本を覚えることではない?それとも本を覚えること「だけ」ではない?
・レイの天恵は「書いてあることが真実かどうかわかること」?
・レイの天恵は「書いた人間の記憶にアクセスできること」???
レイの天恵と言えば、古書の図面と構内を照らし合わせて秘密倉庫を探り当てたことがありました(13巻にて。「僕の天恵に乾杯!」)。これも上記のような天恵によるものだったのですかね。
ディアの天恵も気になるところで、「レイを壊せる」という言葉からすると「他人の記憶を破壊する」みたいな直接的なモノを想像してしまうのですが、二人の口ぶりなどから察するにはどうも「レイ限定で壊せる」的な意味で話してるように見えて、これは違うのかなあなどと思ったり。なんですかね、「他人に記憶を送信できる」とか? 記憶を忘れられないレイは容量過多でクラッシュしてしまうとか。うーんわからん。


「DXやイオンはニンジャの………」
「寿命が人より少ないことや子を成さぬことをご存知でない?」

ところ変わってエカリープ。海老庵先生実はけっこうお若い説が! と思いきや何やらとても重たい話に…。「寿命が少ない」「子を成さない」との息苦しい話を聞くと身構えてしまいますが、これはニンジャというよりも、「からだのくすり」などで身体に無理をしていることの反動という面が大きいのではないのでしょうか。そう考えるなら、幼いころから「からだのくすり」をやめて育った六甲であればもう少し可能性は開けているのかな、などとも思います。
しかし五十四さんや海老庵師父、自分たちが紛う事なきニンジャであるのに、自分をさておいて六甲のことをこんなに案じてあげられるなんて、ほんと良い人らや…。「子を成さない」というのは、本来女性である五十四さんにこそダメージの大きい事実のはずなのですが、まるで気にしていない・そういうものだと割り切ってしまってる風なのがまた切ないのですよね…。まあ五十四さんは基本的にはとてもファンキーなので、そういう明るさにはずいぶん和ませてもらっていますが。
どうでも良いですが、「えっと…師父は私たちの先生なの…」とか必死に言葉を選んでわかってもらおうとしてるイオンが可愛すぎた。必死! せいいっぱい! かわいい!


「あの時竜葵が話を聞いてくれたのは俺が素性を明かしたからだけど」
「あれはつまり、ただのハッタリだ」
「俺には本当に何の力もない」
「本当に運が良かっただけだ」

またところ変わって、今度はDXとリド。ウルファネアでの件を反省し、口数多く語っているDXの図がとても珍しいです。リド救出の件では確かにいろいろなものに助けられてのあの結果でしたが、突っ込んで行ってメチャクチャ言って暴れて、というDXの行為が風穴を開けたのは確かなわけで、「何の力もない」とまで卑下するほどにはあたらないのではないかな、とも思ってみたり。
そして、「しない」と「できない」を分けるために更なる力をつけることを覚悟するDX。この「力」の意味とは、やはり武術・剣術といった直接的なものではなく、今まで嫌ってきた「身分・名前の力」を利用できるようになる、ということでしょうかね。
「自分の名前の価値を理解し、使い方もわかっているが、使わない」なら意味がある。
「自分の名前の価値もわかっていないので、使えない」では意味がない。
今後のDXはよりしたたかに立ちまわれるようになることでしょう。ウルファネアでの一件はやはりDXの成長に一役買っていたようです。


●Ex.01 アカデミー騎士団
「偽物で、レディを傷つけた指揮官でも?」
「そうだ。騎士団は確かに存在し、君を信じた」

イオンの名前の力を利用してしまったことに自己嫌悪を感じていたティ・ティ。確かに一つ違った結果になっていたら取り返しのつかないことになっていた可能性もあるわけでしたしね…。しかしながら、あの時点ではほぼ最善の采配であったことも確かな訳で、反省はしても後悔はするようなことでは無いはずです。
そこでの学長はやはり大したもので、落ち込むティ・ティを的確に励まし、力を取り戻してやる様はまさに教育者といった感じでした。このままだと自己嫌悪を抱えたティ・ティが騎士の道に疑問を感じてしまうこちにもなりかねなかったですしね。「私にとってはアトルニア一の騎士団だよ」を聞いた時のティ・ティの紅顔が印象的。


「あなたたちはアカデミー騎士団の騎士として勇敢に戦いました」
「フィリップが見つけた脱出路のおかげで初等部の生徒たちと女子生徒12名は助け出され…」
「イオンは岸候補生に負けないすばらしい働きをして、私たち女子生徒の新しい可能性を示しました」

候補生たちが正式に受勲される影で、一般女生徒たちによる非公式式典にて手作り勲章を受けるイオン&フィル。DX入学当初に漂っていた「フィルって外周出の不良でしょう?何か怖い…」的な雰囲気のことを思うと、このお手製勲章がまた感慨深いです。自己の行動によって少しずつ評価を改めさせてきた、その一つの結果が形になったわけですね。やー、良かったねーフィル。
まあ本人は周りの評価とか別に気にしてなくて「イオンちゃんとおそろいだー」くらいに単純にはしゃいでるかも知れんがな!


●Act.71 ミムトン・ワーム
「ファレルさまー、井戸蛇が出た!」
リゲインさまと酒場組で押さえてるけど、大物だからファレルさまを呼んで来いって…」

領地ど真ん中でモンスター!そういうのもあるのか! RPGのように街の中だからと言って安全だということはないんですね。しかし危険種といってもそれほどの脅威というわけでもなく(リゲインの対応・準備がしっかりしているためでもあるのでしょう)、何やら一種の娯楽と言いますか、ちょっとした団結イベントのようなノリのご様子。モンスターバトルだってのに何だか楽しそうだなー。リゲイン、ファレルの戦っている姿を見るのも新鮮でした。この二人、引退したとは言ってたけどこういう時は戦うんだ。
そういえばちょいと気になったんですが、3巻の火竜との約束「今後1000年、あらゆる悪意からこの地を守ると誓おう」ってのがありましたが、こういう場合には適用されないんでしょうか。この程度のモンスターでは「悪意」とみなされないのかな。それとも守護対象範囲から外れてるとか?


「旦那さま、この刀を竜胆さまに使っていただいてはどうかと」
「こちらをどうぞ。その御刀では役不足です」

ううむ。『役不足』と『役者不足』という単語はいつも意味がこんがらがってしまいます。たしか
・『役者不足』→あなた程度の役者ではこの役は演じきれないわ!
・『役不足』→あなたのようなスゴイ役者にはこの程度の役ではもったいないわ!
という感じでしたよね。ということは、今回の意味は
「その御刀は名刀すぎます。こんな雑事に用いるのはもったいないです」
あたりか。形見ということでそれなりのものではあるだろうな、とは思ってましたが、夜の果てってのはそこまでスゴイ刀だったんだ。


「来たぞー」
「準備はいいか教会組!」

剣を習う年少組を率い、ミムトンを迎え撃つ体制のDX。規模や危険度などは比べ物になりませんが、状況的にはアカデミー騎士団とそっくりだなあ。そう思って見ると、テオの蛮勇やDXのかばい傷なども象徴的なものに見えてくるのが不思議です。
しかし、そんな中にあって「不能中」Tシャツの面白シュールさは異常ですな。かっこよく号令掛けても不能中。男らしくテオをかばっても不能中。どんだけ不能アピールしてるんだよ!


●Act.72 勇気の花
「俺がお前たちと戦おうって言ったのは」
「俺やお前ならケガしてもかまわないって意味じゃないんだよ

うん…。やっぱりDXは騎士の指揮官タイプではないのですね。「守るべきもののためなら身を投げ出すことも厭わない」と「守り手自身の命も守られて然るべき」。アカデミー騎士団と今回では状況も何もかもが違うので単純にティ・ティと比較するわけにもいきませんが、傾向くらいは見えるかなあ、とか。


「あ!鱗発見〜」
「…よくわかんないけど、元気になったな?」
「はい」

イオンが悩んでいたのはやはりアカデミーでの一件ですかね。自分の名前のために候補生たちに過剰な勇気を与えてしまい、彼らを誇りのために死なせてしまうところだった。「お兄、見栄のために死ねる?」の問いは、DXも「死にたがり」になってしまうのではないかとの不安の表れか。
対するDXの答えは「無理…。少なくとも今は」とのこと。少なくともDXは大丈夫、と安心したのでイオンの元気も少し戻ったのでしょう。イオンはほんとイイ子だなあ。あとブラコンだなあ。


「あ、テオ!ちゃんと腕洗えよ。顔に飛んだ俺の血も」
「口に入って何かうつるかもしれないぞー」
「ハイ!大丈夫です、オレ妹いないから!」
「ん?」
「…」
「…」

テオ、バカッ! 伝染るのはシスコン病だけじゃないよ!
「フラグ壊しまくり病」だとか「オンオフ激しすぎ病」だとか「男にプロポーズしちゃう病」だとかも伝染っちゃうかもしれないだろ!もっと体を大切にしなさい!
いやあ、それにしてもDXのシスコンぶりは地元でも基本理解事項ですか。地元においても常日頃からあんなにイチャイチャしてるんですね。素晴らしいですね。


●Act.73 サムライマン・スピリット
「あー!あの時のサムライの人!」
サムライマン・スピリット。ミュージアム・バルでのロロットに引き続き、2人目の幽霊さんですね。ランドリオールの幽霊さんはみんなわりとガッチリした存在を持ってるなあ。ダンスしたり刀持ったりとか普通にしてますしね。
しかし墓標の「SAMURAI MAN」には笑ったよ。海老庵先生に頼んでもう少しなんとかならなかったのか…! とは思ったものの、12年前では海老庵先生&六甲はまだいないころですね。ううむ。


「幽霊なんか信じるものかあーー! いるなら出てきてみろーー!!」
「幽霊なんていないよね! でも念のためその刀も折って埋めよう!」

ファレルお母さんが何やら大変なことに…! なにこのファレルさんかわいい。
かわいいのは置いといてちょっと気になったんですが、怖いものには逆切れする、って癖は傭兵してる上では困ることって無かったのかな。ランドリオールではゴースト系のモンスターってのは一般的ではないのでしょうかね。モンスターと言ったらケモノ系が主になるのかしら。


「お父さんのカタナはすごくいいのなんだろ?」
「こっちは大根を切ったり虫をつついたりするのに使えばいーよ」
「大根を切ったり虫をつついたりはしないが…」

なんにせよ、サムライの人の望みどおり、泥み香梅はリドのもとへ。まさかリドが二刀流に…?などとチラッと思いましたがそれはないですね。
サムライの人は幽霊の癖にやたらファンキーで楽しげな人だったので、今後少しでも再登場して絡んでくれたら楽しそうです。


●Act.74 2/12
「まごうことなきアトレの金髪に知的なすみれ色の瞳!」
「鍛練が隅々まで馴染んだ肢体!」
「なるほどあなたが…DX・ルッカフォートさまでしょう」

このアレなノリ、アンちゃんの親類か誰かかな??と思って読んでたんですが、その正体はまさかの玉階ということでおもっくそ吹きました。玉階ってこんな感じの人ばっかりですか!
このクエンティンは「泣き月」の玉階、アンちゃんは「坤月」の玉階ということで、玉階というのはそれぞれ月の名称を持っているでしょうかね。サブタイトルの「2/12」もそういう意味か。ちなみに「坤月」というのは旧暦における10月の異称とのことですが、「泣き月」というのは特に見当たりませんでした。ううん、まあ当然、日本国の旧暦がそのまま通用するなんてことはないのか。


「あなたの大切な妹君や―ー」
「あなたのお父上、そしてあなた自身を解放するために」
「19年前の革命を私と終わらせましょう」

アンちゃんはまだDXを推挙していなかった! DXに選んでもらえるまで待つという方向性だったのかもしれないですが、今回はそれに付け入られる形になってしまったのかな。「玉階に選ばれた候補者に拒否権はない」とのことなら、強引にことを進められたらこのクエンティンがDXの玉階となってしまいそうな流れですが…。ポッと出のこの人にアンちゃんが取って代わられるなんてなったら非常に心苦しいなあ。
しかしこのクエンティンの誘い文句は何やらひっかかるものがありますね。イオン、リゲイン、DXの解放とな。彼らがしがらみから完全に解放されるとしたら、とりあえず「王政の廃止」あたりしか思いつかないのですが…。次期王を選出する立場の玉階が王政廃止を推し進める?? うーん、明らかに違いそうだなあ…。
なんにせよ、今まで言及がひたすら避けられてきた「革命」という単語が出てきたことにひたすらワクワクします。15巻では「革命の真実」について語られたりするのでしょうか。楽しみ楽しみ。


●TailPiece
「たっだいま〜」
「ただいまー…」

イオン帰省珍道中、DX帰省珍道中を各1ページ足らずでサクッと語るだと!? これだけで単行本1冊は出せそうな面白ネタじゃないですか! なんともったいない&見てみたかった…。番外編などでここを語られたりはしないかなあ。しないだろうなあ。


「君はイオンを振った奴じゃないよね?(血管マーク)」
「断じて違います!あんな軽薄で手の早い自惚れた男は滅ぶべきですっ!」

カイル(笑)
カイルはもうルッカフォート家の敷居をまたげませんね(来たことないけど)。イオン以外の全員から念入りに歓迎されるコースだよ。
あと、イオンやDXをブラコン、シスコンと言ってきましたが、それも少し語弊があるのかもしれないです。あの二人が仲がいいんじゃない。この家が全体的にラブラブすぎるんだ。ブラコンでシスコンで親コンで親バカなんだ。